今日のクリップ

移動体通信関連

イー・モバイル,地下鉄にモバイルAP増設

 昨日も、政府の財政出動の件と絡めて、Factは複合的に見ていく必要があるといったわけだけど、今日取り上げるこのネタについても、ぼくの考え方は同じことだったりするのだ(・ω・`)。

今回エリア化したのは東京メトロの6路線28駅と都営地下鉄の1路線6駅。豊洲駅後楽園駅などの中規模の駅が中心で、大手町や銀座、霞ヶ関、永田町といった乗り換え路線の多い主要駅は含まれていない。

 追加される具体的な駅名を知りたい場合は、以下を参照のこと。

 これだけ見ると、一番大切なところだけポッカリ穴が開いた、マヌケな状態と思えなくもない。

イーモバイル、帯域制御に踏み切る

 だけど、

 KDDIが口火を切って、なし崩し的に解禁の方向に向かう帯域制御(・ω・`)。
 インフラさえ整っていれば帯域制御は不要、なんてラディカルな考え方は支持しないけれど、通信事業者側が帯域制御を持ち出すということは、トラフィックの増加傾向がユーザーの伸びを上回るペースであると考えたほうがいいだろう(・ω・`)。
 では、主要駅でAPを設置できていない理由は何か。僕なりに考えてみた。

  • トラフィックのバーストが顕著
  • そもそもトラフィックが多い
  • 乗り換え駅は一般に面積が広く、設備投資の規模が大きくなる
  • また、乗換駅は継ぎ足し、継ぎ足しで建設されたため、構造が非常に複雑である

 APは、等間隔にただ設置するとかではダメなのだ。
 APごとの有効範囲と、建造物の構造を組み合わせて、配置を厳密に設計しなければならない。
 この設計はかなり高度な技能を要するものだ。空白地帯ができてはならないし、かといって重複する場所があってもいけない*1というわけ(・ω・`)。

上り帯域の拡張も

 一般ユーザーの帯域利用は、下り=ダウンロードがほとんどです。
 ひと昔前、ADSLがあれだけ大安売りされていたのは、一本の通信回線でも、ダウンロード側の処理に多くを割り当てれば回線の利用効率が高まるという理由から。
 じっさい、一般的なユーザーをモデルとして考えると、上り帯域の拡張で恩恵を受けられるユーザーは殆どいないはず*2
 ぼくが考えるに、これはビジネス用途(ビジネスマンが使う、と言う意味にあらず)だろう。

通信の無線化

 たとえば、

 デジタルサイネージというのは、大型の液晶パネルみたいなものに広告画面を表示するシステム、と考えればいい。
 ところで、画像を大画面に表示するためには、画像データをどこかから送信しないといけない。
 それこそ、地下鉄の駅なんて複雑に入り組んでいて、ケーブルの設置が困難な場所もあるんじゃないかな。
 とすると、無線を使ってデータを送るという用途が考えられる。
 そして、無線といったら、無線LANが考えられるわけだけど、残念ながら無線LANの技術と言うのはセキュリティレベルを維持することがとても難しい。
 その点、イーモバイルがやっているようなモバイルの電波は有利と言える。
 次に、上り帯域を拡張する必要のあるアイデアとしては、一つにはこのデジタルサイネージを双方向化するという用途が考えられる。
 有線より無線の方が、ケーブルの取り回しがない分便利なのは当たり前の話だ。
 と言うことは、無線通信が抱える弱点*3を克服するところに商機があると考えるのは、全く不自然ではない。

中国関連

中国(本土)携帯電話市場の概観

 まず簡単に中国の電話事業を解説しておこう。中国には大きな2つの固定電話会社があり、南部を中国電信(ChinaTelecom)が、北部を中国網通(China Netcomグループ、以下CNC)が担当している。いずれも地域の音声通話だけでなく、DSLなどのデータ通信サービスや国際電話サービスも提供する。そしてPHSサービスもこの2社によって提供されている。
 一方、携帯電話会社も中国移動通信(China Mobile)と中国聯通(China Unicom)の2社が存在する。前者はGSMを、後者はGSMCDMAのネットワークを持っている。
 中国が導入を予定している3Gには、3つの方式が存在する。日本でもおなじみのW-CDMAとCDMA2000、そしてもう1つが中国で開発され、政府が最も力を入れているというTD-SCDMAだ

衝撃走る!ウィルコム、京セラ涙目

 中国の通信産業主管省庁である工業信息化部が先ごろ出した一通の通達が大きな波紋を呼んでいる。明言はしていないものの、中国版PHSである「小霊通」の廃止を意味する内容だったからだ。いまだに7000万人近い利用者を擁するサービスへの突然の退場宣言にユーザーは混乱し、通信業界には様々な思惑が蠢き始めた。

 PHSは淘汰される技術の烙印を押されながらも、通信キャリアと政府の駆け引きによる妥協の産物としてこれまで生き延びてきた。今回の決定は、その政策の天秤がTD-SCDMAを担うことになったチャイナモバイル側に傾いた結果ともいえる。いずれにせよ、その決定プロセスにおいてユーザーは蚊帳の外だった。

 この動きの背景には、どうも中国版NTTとでも言うべき、チャイナテレコムと政府の綱引きがあるようだ。

 当局が今回下した決定のキーワードは「TD-SCDMA」だ。つい最近交付した中国3G免許の一つ、中国の独自国際規格である。PHSが使用している1900〜1920MHz帯の周波数は、TD-SCDMAに割り当てられた1880〜1900MHz帯に隣接する。このままでは3Gサービスの運営に支障をきたす恐れがあるため、2011年末までに1900〜1920MHz帯から引き上げるよう通達したのである。

 ちなみに、このTD-SCDMAという規格は、当初ソフトVANKが独自の3G携帯電話をはじめますよー、という話を始めたときにも採択された規格だったりする。
 それは、ソフトVANKVodafone日本支社を買収するより前の話。

*1:厳密には、信号の強度をもとにAPを選択したり、ハンドオーバーをするらしいが。

*2:P2Pなんかでうpしてる連中は「一般」から除外。

*3:下り=ダウンロード速度を高めるために、上りを犠牲にしてきたこと