派遣法の抜本改正はあるのか?

労使間対立

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 派遣法の抜本改正巡って火花:日経ビジネスオンライン
 「火花」ってあるけど議論してるわけでもディベートしてるわけでもない。
 二人分のインタビューを一本の記事にムリヤリまとめてるだけ。詐欺くせぇ。

全国ユニオン・鴨桃代会長

 この人、たしかほぼ信任投票で決まる慣例の連合の代表選挙に、飛び込みで名乗りを挙げた人だったと思う。

問 非正規社員は自己責任でその働き方を選んだので、現状に耐えるべきとの声があります。
答 自ら選択した働き方だと言われれば、そういう人は確かにいる。しかし、「突然雇い止めに遭っても当然」ということまで、選択したのではない。非正規社員だから低賃金でも解雇されても当たり前というのはおかしい。ユニオンに相談してくる人は30〜40代が多いが、こういった人たちは、かつての景気後退期に、就職の入り口で正社員になれなかった「非自発的」な人たちだ。

 日銭を稼ぐ仕事の厳しさについて認識が甘かったと言うならば、それは確かに事実かもしれない。
 でも、そうした不安要素を見えにくくするように努力を重ねてきたのは、それこそ政府とか財界とか派遣会社なわけであって。
 昨今のハケン叩きは、マルチ商法に引っかかった被害者を叩いているようなもの。被害者に落ち度がなかったとは言えないかもしれないが、もはやそれを議論している余裕が無くなってきてるってことだろ。

問 もっと仕事を探す努力をすべきだという意見もあります。
答 「派遣切り」に遭った多くの人は職と住まいを同時に失った。面談で「住所がない」と答えると雇ってもらえないケースが多い。また、お金がない人に職探しはできない。面談に行く交通費がないからだ。面談しても、携帯電話の通話が止められていて、連絡を受けられない。こういう現状を、「やる気」という次元で論じることはできない。派遣社員は給料から社宅費、家電などのリース代が引かれ、貯金できない状態で派遣切りに遭っている。

 切実。転落すると抜け出せない。

問 規制強化は働き方の選択肢を狭め、失業率上昇、製造業の空洞化につながるとの反対論があります。
答 日雇い派遣を禁止しても、仕事そのものがなくなるわけではない。短期アルバイトという形態もある。派遣を「常用型」に限定すると、派遣会社のコストが高くなるから、雇用者数は絞られるかもしれない。しかし、派遣社員の多くは安定性を望んでいる。

 常識的に考えて、日雇いハケンだとスキルや経験が蓄積できず、かえって生産性が低下するのではないかと思う。それでも企業側がそうしたがることにはそれなりの理由があるはず。
 理由の一つに、会計の仕組みがあるのではないかと思ってる。遊休設備とか作業をしてない従業員ってのは、もう会計上はっきりと赤く見えてしまうわけだ。
 その一方で、日雇いハケンの生産性の低さは会計からは見えにくくなる。生産性そのものは金銭換算できないから。

日本商工会議所・岡村正会頭

問 労働関連法制の規制緩和の弊害が、景気後退によってあぶり出されたとの指摘もあります。
答 制度には常に「表」と「裏」がある。これまでは表の部分によって雇用も拡大してきた一方で、裏の部分を誰もきちんと予測しなかった。つまり、景気が悪化した時に社会問題化しないようにする検討が、政労使の間で行われてこなかったところに問題がある。そんな段階だったからこそ、非正規社員の方々が住宅を失い、仕事を失う事態が起こってしまった。

 被用者側から一体何を「調整」できたのかが知りたい。
 調整する力があったとすれば、それは派遣会社だったわけだろう。でも、グッドウィルとかフルキャストとかの実体を見れば、彼らにそうした意図があったかどうかは明白だと思われる。

問 ワークシェアについては、どうお考えでしょうか。
答 まず適する職種とそうでないものがある。次に賃金が下がっても同僚たちと一緒に仕事を分け合うといった雇用の文化がまだ日本に定着していない問題もある。企業が5割の減産を強いられれば、今まで1人でやった仕事を2人でやることになる。労働時間は半分になり賃金も半減する。労使が納得いくような制度を作るには2〜3年の時間がかかる可能性があるだろう。

 当面の解決策とするには時間がかかりすぎるし、やっぱり単純に分け合うんじゃなくてどっかに負担がかかってしまうという認識があるわけね。